夜勤介護マンの日記

介護現場で感じたことを、体験ベースで書いています

【介護現場】倒れている人を見た時、最初にやること

※これは20年以上の介護現場経験をもとにした内容です。医学的な診断・治療については専門医にご相談ください。
※特定の個人・施設を否定する意図はありません。
※見出し画像は内容をもとにしたイメージ画像です。

 

救急外来のドクターから教わったこと

救急外来のドクターから研修を受ける機会があった。

教科書で読んだことはあっても、現場の医師から直接教わる内容は密度が全然違った。「実際に倒れている人を前にした時、どう動くか」を順番に教えてもらった話を、ここに残しておきたいと思う。

まず周囲の安全を確認する

倒れている人を発見したら、まず自分が安全かどうかを確認する。

交通事故現場や火災現場など、二次被害が起きる可能性がある場所では、近づくこと自体が危険になる。助けようとした人間が倒れたら、助けられる人が減るだけや。安全を確認してから、近づく。

反応と呼吸を確認する

近づいたら両肩を手で叩きながら、はっきりした声で「大丈夫ですか?」と2回呼びかける。

反応がなければ、次は呼吸の確認や。自分の顔を倒れている人の顔に向けて、胸の動きを目で見ながら、呼吸音と心臓の音を確認する。

呼吸も反応もなければ、すぐに次の行動に移る。

大声で人を呼ぶ、役割を指定する

「誰か来てください!」と大声で呼ぶ。このとき、漠然と呼ぶだけでは動いてくれる人が出にくい。人が集まったら、指差しで一人ひとりに役割を指定することが大切やとドクターは言ってた。

「あなたは救急車を呼んでください」
「あなたはAEDを持ってきてください」
「あなたはさらに人を呼んできてください」

名指しで指示することで、「自分がやらんといかん」という意識が生まれる。漠然とした呼びかけだと、誰もが「誰かがやるやろ」と思って動かへんことがある。

心臓マッサージを始める

役割を指示したら、自分はすぐに胸骨圧迫(心臓マッサージ)を始める。

胸の真ん中、胸骨の下半分あたりに両手を重ねて、体重をかけて真下に押す。深さは約5〜6センチ、1分間に100〜120回のテンポが目安や。これを続けることで、止まった心臓の代わりに血液を全身に送り続ける。

体力的にきつい作業やから、人が集まったら必ず交代しながら続ける。疲れた状態での圧迫は効果が落ちる。

AEDが届いたら

AEDが届いたら、胸骨圧迫を別の人に交代して、AEDの取り付けに移る。電源を入れると音声が全部案内してくれる。その指示に従って動けばいい。

パッドを貼る前に、必ず確認してほしいことが2つある。

ひとつは貴金属や装飾品や。ネックレスやピアス、指輪などが胸元や体についている場合は、できる限り外す。電気ショックの際に金属に電流が集中して、皮膚に火傷を起こすリスクがある。

外せない場合は焦らなくていい。AEDのケースの中にハサミやカミソリが入っていることが多い。ネックレスなど切れるものはそれで対処できる。それでも外せない場合は、貴金属に触れないようにパッドの位置をずらして対応する。

もうひとつはペースメーカーや。胸の左側、鎖骨の下あたりにふくらみがある場合はペースメーカーが入っている可能性がある。パッドを貼る位置の注意点については、前の記事を参照してほしい。

パッドを貼ったら、周囲の人全員に離れるよう指示する。誰も触れていないことを目で確認してから、AEDを起動する。

回復しなくても、止めたらあかん

電気ショックの後も回復しない場合は、そのまま胸骨圧迫を継続する。AEDは一度使ったら終わりやない。必要と判断されれば再度ショックがかかる。

救急隊員が到着するまで、絶対に止めない。交代しながらでいい、へたくそでもいい、続けることが命をつなぐことになる。

あなたの行動が、命を救う

心停止後、何もしなければ1分ごとに救命率が約10%下がると言われている。救急車が到着するまでの時間、その場にいる人間が動けるかどうかが、生死を分けることがある。

難しく考えなくていい。手順を全部完璧に覚えなくてもいい。「肩を叩いて呼びかける、人を呼ぶ、胸を押す」この3つだけでも頭に入っていたら、動ける。

あなたのその行動で、助かる命がある。