夜勤介護マンの日記

介護現場で感じたことを、体験ベースで書いています

「家族が迎えに来た」夜中にエレベーターへ。統合失調症の方との現場体験

夜勤介護 × 家族介護

介護の現実は、きれいごとだけでは分からない。

現場で起きたこと、夜勤者の判断、家族が抱える迷いを実録でお届けします。

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※この記事は、夜勤介護マンが介護現場で実際に体験・見聞きしたことをもとに、個人や施設が特定されないよう一部内容を変更・再構成しています。状態や対応方法には個人差があります。医療・介護上の判断は、担当の医師、看護師、ケアマネジャーなどへ相談してください。特定の個人・施設を批判する意図はありません。

現場エピソード

「家族が迎えに来た」夜中にエレベーターへ。統合失調症の方との現場体験

夜中に「家族が迎えに来た」と訴え、エレベーターへ向かった利用者さん。否定せず、安全を守りながら関わった夜の話。

夜勤介護マン

▷ この記事でわかること

  • 夜間に強い確信を伴う訴えがあった場面
  • 言葉を否定せずに安全を確保した対応
  • 統合失調症の症状と決めつけない観察の大切さ
  • 職員間で情報を共有する意味

夜勤中、廊下の先でエレベーターを待っとる利用者さんがおった。「家族が迎えに来たから帰る」と、本人の中ではもう話が決まっとる様子やった。

時間は深夜。もちろん面会の予定もない。せやけど、そこで「そんなはずない」「誰も来てません」と正面から否定しても、不安や怒りが強くなるだけのことがある。

夜中のエレベーター前で

本人は落ち着かん様子で、何度も階数表示を見上げとった。まず転倒せんよう横につき、寒くないか、トイレは大丈夫か、痛いところはないかを確認した。訴えだけに目を奪われると、体調不良や排泄のサインを見落とすことがあるからや。

まず安全を確保する

エレベーターへ一人で乗る、階段へ向かう、外へ出ようとする。こうした動きがあるときは、議論より先に安全な場所へ誘導する必要がある。ワイは「迎えが来るまで、ここで少し待ちましょうか」と声をかけ、近くの椅子へ一緒に移動した。

訴えを頭ごなしに否定しない

本人が感じとる世界を、職員の都合で乱暴に切り捨てたらあかん。「家族に会いたいんですね」「待っておられるんですね」と気持ちの部分を受け止める。事実と違う内容へ同調しすぎず、それでも感情は否定しない。その間を探す対応や。

背景を観察する

精神疾患の診断があっても、その日の言動を何でも病気のせいにしたら危ない。睡眠不足、発熱、便秘、薬の影響、環境の変化、不安。急な変化なら看護師へ報告し、いつから、何を話し、どんな行動があったかを具体的に伝える。

チームで共有する

その夜は、迎えを待つ話をしながら温かい飲み物を少し口にしてもらい、しばらくすると居室へ戻られた。対応した言葉、落ち着くまでの時間、危険な動きの有無を記録し、次の勤務者へ申し送った。

大事なんは、正しさで勝つことやない。本人の安心と安全を守りながら、体調変化を見逃さんことや。

まとめ

「家族が迎えに来た」という言葉の奥には、会いたい気持ちや帰りたい不安が隠れとることがある。否定せず、危険を避け、背景を観察してチームへつなぐ。夜勤で求められるのは、派手な解決やなく、目の前の人が朝まで安全に過ごせるよう支えることや。

よくある質問

Q. 訴えに話を合わせてもいいですか?

A. 感情を受け止めることと、事実と異なる内容を断定的に肯定することは別や。本人の安心を優先しつつ、チームの方針に沿って対応する。

Q. 急に言動が変わった場合は?

A. 精神症状と決めつけず、体調変化も含めて観察し、看護師や医師へ報告してほしい。

補足:統合失調症の方への夜間対応を現場で考える視点

統合失調症の方への夜間対応について知識を得ても、実際の介護では教科書どおりに進まんことが多い。本人の身体状態、認知機能、生活歴、家族との関係、職員配置、その日の体調が重なって、一つひとつの場面ができとるからや。ここでは、記事の内容を現場で考えるときにワイが意識しとる視点を補足する。

本人の言葉だけで判断しない

「大丈夫」「いらない」「帰りたい」という短い言葉だけを切り取ると、本当の困りごとを見落とすことがある。表情、声の強さ、目線、手の動き、いつもとの違いを一緒に見る。言葉と行動が合わんときは、どちらが正しいと決めるより、なぜ違いが出とるかを考える。

介護職は診断をする立場やない。せやけど、生活の一番近くで変化を見つける立場ではある。食事量、排泄、睡眠、移動、会話、痛みの訴えなどを具体的に記録すれば、看護師や医師が判断するための材料になる。

できない理由を一つに決めつけない

動作が止まったとき、「認知症だから」「年齢だから」「性格だから」で終わらせたらあかん。説明が長すぎたのかもしれんし、周囲が騒がしかったのかもしれん。眼鏡や補聴器が合っていない、疲れている、痛みがある、便秘が続いていることもある。

原因を一つに絞れん場合でも、条件を一つずつ変えて反応を見ることはできる。声をかける人を変える、時間をずらす、選択肢を二つにする、場所を静かにする。小さな調整が、その人のできる力を引き出すことがある。

安全と自立を両方見る

転倒や事故を防ぐことは大切や。ただ、安全だけを優先して何もさせんようにすると、筋力や意欲が落ちることもある。逆に自立支援という言葉だけで無理をさせれば、本人を危険にさらす。

ワイが意識しとるのは、全部任せるか全部介助するかの二択にせんことや。最初の動作だけ本人にしてもらう、疲れたところから支える、見守りでできる時間帯を選ぶ。できる範囲を細かく分けると、安全と自立の間にいくつもの選択肢が見えてくる。

本人の尊厳を守る

介助に慣れるほど、職員同士の会話や段取りが先になり、本人への説明が抜けることがある。体へ触れる前に声をかける。衣服や排泄の場面では人目を避ける。本人が嫌がったときは、急がず理由を探す。当たり前のことやが、忙しいときほど抜けやすい。

本人の前で「この人は何もできない」「また同じことを言っている」と話すのも避けたい。返事がなくても、聞こえとるかもしれん。その人を一人の大人として扱う姿勢は、介護技術の土台や。

家族との情報差を埋める

家族が知っとるのは、元気やった頃の本人や自宅での姿かもしれん。職員が見とるのは、施設で体調を崩した日や夜間の姿かもしれん。どちらかが間違っとるわけやなく、見えている場面が違う。

説明するときは「危ないから変えました」だけで終わらせず、いつ、どんな動きがあり、何を試し、どんな結果やったかを伝える。家族からも、以前うまくいった声かけや本人の好みを聞く。情報がつながれば、本人に合う方法を見つけやすくなる。

記録は評価ではなく事実を書く

「不穏だった」「わがままだった」という言葉だけでは、次の職員が同じ状況を理解できん。何時に、どこで、何を話し、どんな行動があり、どう声をかけたら、何分後にどう変わったか。観察した事実を残す。

うまくいかなかったことだけやなく、うまくいった条件も記録する。「静かな場所では説明を聞けた」「右側から声をかけると反応した」「温かい飲み物のあと落ち着いた」。こうした情報がチームのケアを揃える。

申し送りで優先順位をつける

情報を全部並べても、大事な変化が埋もれることがある。生命に関わる変化、転倒や離設などの危険、本人が強く困っとること、次の勤務で確認してほしいこと。この順に整理すると伝わりやすい。

判断に迷うときは、曖昧なまま抱え込まん。看護師、ケアマネジャー、リハビリ職、医師など、それぞれの専門職へつなぐ。介護職が一人で答えを出す必要はない。

環境をケアの一部として見る

本人へ繰り返し注意する前に、環境を変えられんか考える。床の物を減らす、必要な道具を同じ位置へ置く、表示を見やすくする、照明を調整する。人の記憶や身体だけに頼らず、失敗しにくい環境を作る。

環境調整は一度で完成せん。実際に使う姿を見て、合わなければ変える。職員に便利な配置と本人が使いやすい配置が違うこともあるため、本人の動線から考える。

その日の状態を見直す

昨日できたことが今日は難しい日もある。反対に、体調が戻れば再びできることもある。一度決めた介助量や対応方法を固定せず、毎日の変化を見て調整する。

発熱、食欲低下、眠気、痛み、息苦しさ、排泄の変化など、普段と違う様子があれば早めに共有する。急な変化は「年のせい」で済ませず、医療職へつなぐことが必要や。

新人職員へ伝えたいこと

手順を覚えることは大切やが、手順の目的も一緒に考えてほしい。なぜこの順番なのか、何を防ぐためなのか、本人にどんな負担があるのか。理由が分かれば、想定外の場面でも安全な選択をしやすい。

分からんことを聞くのは恥ずかしいことやない。分からんまま介助を進めるほうが危ない。先輩の方法がいつも正解とも限らんから、本人の反応と施設の手順、専門職の意見を照らし合わせる。

ケアを見直すための確認項目

  • 本人の希望を確認できているか
  • 痛みや体調不良の可能性を見ているか
  • できる動作まで奪っていないか
  • 危険な動作を本人の責任にしていないか
  • 環境を変える余地はないか
  • 家族と職員で情報が食い違っていないか
  • うまくいった対応を記録しているか
  • 必要な専門職へ相談できているか

ワイが現場で忘れたくないこと

介護は、正解を当てる仕事というより、目の前の人に合う方法を探し続ける仕事やと思っとる。今日うまくいった方法が明日も通用するとは限らん。それでも、観察して、話を聞いて、記録して、次の人へつなぐことはできる。

本人を変えようとする前に、職員の関わり方と環境を変えられんか考える。その姿勢を持ち続けることが、統合失調症の方への夜間対応を単なる知識で終わらせず、現場のケアへつなげる一歩になる。

統合失調症の方への夜間対応に関する実践的な振り返り

場面を分解して考える

困った場面が起きたとき、結果だけを見ると「できなかった」で終わってしまう。介助を始める前、声をかけた瞬間、動作を始めたあと、終了したあとに分けて見ると、どこで難しさが出たかが分かりやすい。

たとえば立ち上がれなかった場合でも、説明が伝わらなかった、足の位置が悪かった、椅子が低かった、痛みがあった、急かされて不安になったなど背景は違う。動作を細かく見ることで、次に試す方法が具体的になる。

声かけの量とタイミング

職員が一度に何個も説明すると、本人は最初の一つしか受け取れんことがある。「立って、向きを変えて、ここへ座ってください」ではなく、「手すりを持ちましょう」「次に立ちましょう」と一つずつ伝える。

言葉をかけた直後に動かないからと、すぐ次の指示を重ねんことも大切や。理解して動き始めるまで時間が必要な方もおる。数秒待つだけで、自分から動けることがある。

拒否があるときの考え方

介助を拒まれたとき、職員には業務の予定があるため焦りやすい。せやけど、拒否には理由がある。痛い、寒い、恥ずかしい、知らない職員が怖い、今は眠い。本人が言葉にできん理由もある。

緊急性が低いなら、一度離れて時間を置く、別の職員へ替わる、目的を短く説明する。拒否を力で押し切る前に、方法と時間を変えられんか考える。

プライバシーへの配慮

居室の扉やカーテンを閉める、必要以上に肌を露出しない、他の利用者の前で排泄や病気の話をしない。こうした配慮は、忙しい現場でも省いてはいけない。

家族への説明でも、本人がその場にいるなら本人へ先に声をかける。本人を飛び越えて家族とだけ話すと、自分の生活を勝手に決められたように感じることがある。

事故予防を具体化する

「転倒に注意する」だけでは行動につながらん。どの時間帯に、どこで、どんな動作のときに危険が高いかを書く。夜間のトイレ移動、食後の立ち上がり、入浴後のふらつきなど、場面を絞る。

対策も「見守りを強化」だけで終わらせず、誰が、どの位置で、何を確認するかまで決める。実行できない対策を記録に並べるより、続けられる方法を選ぶほうがええ。

ヒヤリハットから学ぶ

事故にならなかった場面には、次の事故を防ぐ情報がある。転びそうになったが手すりをつかめた、薬を飲み忘れそうになったが本人が気づいた。偶然助かった部分を見つけ、仕組みに変える。

誰かを責めるために書くのではなく、同じ条件が重なったときにどう防ぐかを考える。個人の注意力だけへ頼らず、配置、表示、確認方法、職員間の連携を見直す。

家族へ伝える言葉

専門用語をそのまま使うと、家族には深刻さも選択肢も伝わらんことがある。現在できること、難しくなったこと、職員が試したこと、今後相談したいことに分けて説明する。

家族の反応が強いときも、すぐ反論せず、何を心配しとるかを聞く。「歩けなくなるのが怖い」「苦しませたくない」など、言葉の奥にある不安が分かれば話し合いの焦点が見える。

多職種へ相談するとき

医師には症状の経過、看護師にはバイタルや生活上の変化、リハビリ職には具体的な動作、ケアマネジャーには生活全体の困りごとを伝える。相手が判断しやすい情報へ整理する。

「最近変です」だけでは伝わりにくい。いつから、頻度はどのくらいで、何をすると悪化し、何をすると落ち着くか。介護職が観察した生活情報は、多職種の判断に役立つ。

本人の強みを記録する

介護記録は困りごとばかりになりやすい。自分でできたこと、好きな話題、落ち着く習慣、得意な動作も残す。強みの情報があれば、次の職員も本人の力を使った支援を組み立てられる。

できないことが増えた日でも、挨拶を返した、コップを持てた、好きな歌に反応したという力が残っとることがある。小さな力を見つける視点が、その人らしい生活を支える。

定期的な見直し

ケア方法は、決めた瞬間から古くなり始める。状態が変われば、必要な介助も変わる。短い間隔で振り返り、続ける理由がなくなった制限や介助は減らせんか考える。

本人と家族の希望も変わる。以前は安全を最優先した方が、今は自分で挑戦したいと思うかもしれん。逆に疲れが強くなり、手伝ってほしい日もある。希望を聞き直すことが必要や。

まとめのチェック

  1. まず本人の安全と体調を確認する
  2. 言葉と行動の両方を観察する
  3. 一度に一つ、分かりやすく伝える
  4. 本人ができる動作を残す
  5. 拒否の背景を考える
  6. 事実を具体的に記録する
  7. 家族との情報差を埋める
  8. 必要な専門職へ早めにつなぐ
  9. 環境と介助方法を定期的に見直す

統合失調症の方への夜間対応について考えるときも、中心におるのは診断名や介助技術やなく、一人の生活者や。本人の言葉を聞き、変化を観察し、チームで支える。地味でも、この積み重ねが現場のケアを作っていく。

統合失調症の方への夜間対応を支援へつなげるための最終確認

最後に、現場で迷ったときの確認順序を整理しておく。最初に見るのは緊急性や。意識、呼吸、強い痛み、出血、転倒など、すぐ医療職へつなぐ変化がないかを確認する。次に、本人が何を望み、何に困っとるかを聞く。そのうえで環境、介助方法、職員の声かけを見直す。

一回の対応で解決せんことも多い。だから記録を残し、次の勤務者へ具体的につなぐ。時間帯、場所、本人の言葉、職員の対応、その後の変化があれば、別の職員も同じ地点から考えられる。

家族へは結果だけでなく過程を伝える。専門職へは判断に必要な事実を渡す。本人へは、今から何をするかを分かる言葉で説明する。この三つを意識するだけでも、介護が職員の作業だけになりにくい。

そして、対応がうまくいった日ほど振り返る。何が良かったのか、偶然ではなかったか、別の職員でも再現できるか。成功した条件を共有して初めて、個人技がチームのケアになる。

統合失調症の方への夜間対応の答えは、記事を読んだだけでは完成せん。本人の反応を見て、試して、見直す。その繰り返しの中で、その人に合う答えへ近づいていく。

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