夜勤って、たった数秒で事故が起きる。

コール対応、排泄介助、離床センサー。全部同時に鳴る時がある。
その0.5秒、別の場所を見てたら、事故になる。
でも——人間やから、限界もある。

今日書くのは、夜勤の一番ヒリつく部分や。「誰を後回しにするか」を、一瞬で決めなあかんという話や。


夜勤って、たった数秒で事故が起きる

介護の夜勤をやったことがない人には、たぶん想像つかへんと思う。
事故っていうのは、長い時間かけて起きるもんやない。数秒で起きる。

さっきまで眠ってた人が、ふっと目を覚まして、立ち上がろうとする。
その瞬間に、ワイが別の部屋にいたら——もう間に合わへん。戻ってきたときには、床に倒れてる。

「ちゃんと見てなかったんか」と言われたら、返す言葉がない。
でも、ワイは確かにその場におらんかった。なぜなら、同じ瞬間に、別の場所でも何かが起きてたからや。体は一つしかない。その現実が、夜勤には常につきまとう。


2人体制でも、必ず1人になる時間がある

ワイの施設の夜勤は、2人体制や。「2人おるなら、なんとかなるやろ」と思うかもしれへん。でも——2人体制でも、必ず「1人になる時間」が生まれる。

夜勤で「1人になる」瞬間

・休憩を交代で取るとき(2人同時には休めへん)

・もう一人が他の階の応援・交代に行ってるとき

・もう一人が、別の利用者さんの対応に入ってるとき(入浴後の対応、排泄介助、急変対応など)

・記録や物品の準備で、フロアを離れているとき

2人おっても、その2人がずっと同じフロアに並んでるわけやない。休憩は順番に取る。片方が他階の応援に行く。片方が誰かの介助に入る。その間、残った一人が、フロア全体を見ることになる。実質「1人夜勤」の時間が、毎晩、必ずある。

そして、事故は——なぜか、その「1人になった瞬間」を狙ったように起きる。一人で見てる時間は、目が届きにくいから、当然リスクが上がる。その「目が届きにくい時間」に、複数の利用者さんが同時に動き出すことがある。


鳴る経路は、一つやない

ここで、現場の「鳴り物」の話をしておかなあかん。ワイらが夜勤で対応する「呼び出し」は、一種類やない。複数の経路から、バラバラに鳴る。

夜勤で鳴る、3つの経路

ナースコールが鳴るタイプのセンサーマット:利用者さんがマットを踏むと、ナースコールと同じように鳴って知らせる。

ピンクの子機に部屋番号が出るタイプのセンサーマット:マットを踏むと、手に持ってるピンクの子機に、どの部屋かが番号で表示される。

普通のナースコール:利用者さんが自分の手で押して鳴らす、昔ながらのナースコール。

この3つが、別々に存在してる。センサーマットも、ナースコールが鳴るタイプと、ピンクの子機に番号が出るタイプの、2種類が混在してた。さらに、利用者さんが自分で押す普通のナースコールもある。

つまり、ワイは夜勤中——ナースコールの音に耳を澄ませながら、同時にピンクの子機の表示も気にかけながら、フロアを動いてる。どこで何が鳴るか分からへん。複数の経路を、同時に監視し続ける。それが夜勤の常態や。
そして、この複数の経路が——同じ瞬間に、いっせいに鳴ることがある。


鳴ってくるのは全員「待てない人」や

ここが、一番大事なところや。鳴ってくる人は、全員「待てない人」やねん。

ナースコールが鳴る。普通やったら「はーい、今行きます」で、ちょっと待ってもらえる。でも、夜勤で鳴らしてくる人の多くは——「ちょっと待ってて」が通じひん人なんや。

ナースコールを押してくる人は、たいてい、自分でトイレに行こうとする人や。押した直後には、もう自分で立ち上がろうとしてる。「待つ」という選択肢が、その人の中にない。だから、ナースコールが鳴った時点で、もう一刻を争う。「押したけど、ベッドで待っててくれてる」やなくて、「押した、と同時に、もう動き出してる」んや。

センサーマットも同じや。マットを踏んでる、ということは——もう、立ち上がってる。ベッドから足を下ろして、今まさに動き出してる、ということや。マットが鳴った時点で、その人はすでに「転ぶ一歩手前」におる。

つまり、3つの経路、どれが鳴っても——全部「今すぐ行かな、転ぶ」というサインなんや。「これは急ぎ」「これは後でええ」という区別が、そもそもできひん。どれも待ったなし。どれも、走らな間に合わへん。

その状況で、複数が同時に鳴ったら、どうなるか。ヘルプを呼ぼうにも、もう一人は休憩中か、他階か、別の対応中。ワイは、一人や。体は、一つや。でも、鳴ってるのは、複数。全部、待ったなし。

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