夜勤介護マンの日記

介護現場で感じたことを、体験ベースで書いています

「8時までに連れてって」――安住アナに恋するお婆ちゃんと、介護の義務を『魔法』に変えるエレベーター

この記事は、やきんかいごが介護現場で実際に体験・見聞きした出来事をもとに書いています。個人が特定されないよう、一部内容を変更・再構成しています。介護の実態をリアルにお伝えすることを目的としており、特定の施設・個人を批判する意図はありません。

介護の仕事をしていると、「この人、何が好きなんやろ」って気になる瞬間があります。

病気や障害があっても、その人の「好き」は消えない。
むしろ、その「好き」を知ったとき、介護が一気に生き生きしてくる。

今日は、朝8時のエレベーターの話をします。

2階のお婆ちゃん、朝だけ1階に来る

2階に暮らしている、車いすのお婆ちゃんがいます。

朝食は1階で食べる。これはいつものルーティンです。
フロアが違っても、食事は1階のダイニングに集まる――そういう施設の造りになっていました。

朝食が終わって、さあ2階に戻りましょうか、という時間。
大抵の方はそのままエレベーターで居室に戻っていきます。

でも、このお婆ちゃんは違った。

「エレベーター乗る前に、ちょっと待って」という空気を出す。
いや、もっとはっきり言うと、「8時までにホールのテレビのところに連れてってほしい」という希望があったんです。

「8時までにホールに連れてって」の理由

最初にその話を聞いたとき、正直「なんでやろ」と思いました。

朝食後にホールのテレビを見たい。それだけなら、べつに珍しいことやないです。
でも「8時まで」という時間指定がある。

職員が理由を聞いたら、すぐに答えが返ってきました。

「安住さんが出るから」

安住紳一郎アナウンサー。TBSの看板アナウンサーで、日曜の「THE TIME,」や特番でおなじみの、あの安住アナです。

朝8時から始まる番組に安住アナが出る。
だから、8時までにテレビの前にいたい。
それだけの話でした。

シンプルすぎて、逆にじんときた。

安住アナとお婆ちゃん

テレビの前に車いすを止めて、番組が始まるのを待つお婆ちゃん。

安住アナが画面に映ると、表情が変わるんです。
それまでぼんやりしていた目が、ちょっとだけ輝く。

声に出して何かを言うわけでもない。
手を振るわけでもない。
ただ、静かに画面を見つめている。

でもその顔は、明らかに「好きな人を見ている顔」でした。

これやねん、介護って。

ワイはそのとき、心の中でそう思いました。

車いすに乗っていても、2階に住んでいても、朝食後の動線が決まっていても――
「安住アナが見たい」という気持ちは、ちゃんとそこにある。

その気持ちを叶えるのに、必要だったのは8時までのエレベーターだけでした。

「好き」を知ることが、介護の入口になる

介護の仕事をしていると、どうしても「できないこと」に目が向きがちです。
歩けない、食べられない、言葉が出ない――そういうことばかり記録に書く。

でも「好きなもの」を知ると、その人の輪郭がくっきりしてくる。

遠藤関が好きなお婆ちゃん。
安住アナが好きなお婆ちゃん。
そういう「好き」が、介護する側の気持ちも変えてくれます。

「この時間に間に合わせてあげたい」という気持ちが生まれる。
朝の忙しいシフトの中でも、8時を意識するようになる。

「好き」を知ることは、ケアの質を上げる一番の近道やとワイは思っています。

アセスメントや個別ケア計画の中に、「好きなもの・習慣・こだわり」をどれだけ丁寧に書けるか。
その積み重ねが、その人らしい生活を作っていく。


あんたの現場に、「この時間だけは絶対に守りたい」という希望を持った利用者さんはいますか?
小さな「好き」を叶えた話、よかったらコメントで教えてください。