高齢者の足のむくみ、介護施設では何を見とるんか―現場20年の視点
この記事でわかること
- 足のむくみ(浮腫)が高齢者に多い理由
- 介護施設が足を高くして休んでもらう本当の理由
- ホールで見守る理由と、そこに潜む別の危険
- 足を高くした後、何を確認しとるか
目次
ホールの隅、車椅子に座った利用者さんの足元に、丸いクッションが置いてある。足はそのクッションの上に乗って、心持ち高い位置で休んどる。よくある、なんてことない光景や。せやけど、そこには理由がある。家族から見たら、特に意味のない配置に見えるかもしれん。それでもその裏には、毎日の観察と、ちょっとした判断が積み重なっとる。今日はその話をしようと思う。
高齢の家族が施設に入所しとると、「足のむくみ」という言葉を、面会のときや看護師との会話でふと耳にすることがあると思う。ほんで、むくみってそんなに気にするもんなんかと、疑問に思う人もおるんちゃうかな。この記事では、介護施設が足のむくみに対して実際どう見て、どう対応しとるんかを、現場20年の視点で書いていく。病気の解説は最低限にしといて、あくまで「介護の現場では何を見て、何を考えとるんか」を軸にする。
足のむくみ(浮腫)とは何か

※画像はイメージです(AI生成)
むくみ、正式には浮腫(ふしゅ)と呼ばれるもんで、血管やリンパ管から染み出した水分が、皮膚の下の組織に溜まった状態のことを言う。ワイも最初は「水が溜まる」くらいのイメージしかなかったけど、調べてみると、重力の影響で足先に水分が集まりやすい、ということらしい。座りっぱなしや寝たきりの時間が長いと、ふくらはぎの筋肉のポンプ作用が働きにくくなって、余計に水分が滞りやすくなる。これは伝聞というか、勉強した知識としてワイが知っとることで、体感として毎日見てきたわけやない部分もある、と、ここは白状しとく。
なんで高齢者にむくみが多いんか
高齢になると、筋肉量が若い頃より減る。歩く機会も減る。座る時間が長くなる。この3つが重なると、脚の血液やリンパの流れが悪くなりやすい。あと、薬の副作用でむくみが出ることもある、と看護師から聞いたことがある。これもぶっちゃけ、薬の名前まで詳しくは分からん。ただ、現場では「この人、最近むくみやすなったな」と感じることは実際あるし、それが加齢によるもんなんか、薬のせいなんか、他の要因なんか、ワイら介護士が判断することやない。
背景にある病気について(あくまで一般論)
むくみの背景に、病気が隠れとることもある、と言われとる。心不全、腎臓の病気、肝臓の病気、下肢静脈瘤、リンパ浮腫、深部静脈血栓症(DVT)なんかがそれにあたるらしい。ただ、この記事はそれぞれの病気を詳しく解説するもんやない。あくまで「こういう病気でも、むくみという症状が見られることがある」という程度に留めとく。診断や治療の話は、ここでは踏み込まん。
⚠ 片足だけ急に腫れたとき
片足だけ急に腫れて、痛みも伴うようなときは、深部静脈血栓症の可能性もあるから注意が必要、と看護師から教わったことがある。ここは診断やのうて、あくまで「そういう可能性もある」という知識として持っとってほしい。気になる様子があれば、早めに医療職へ相談するのが一番や。
介護士は診断する仕事やない
これはハッキリさせときたいんやけど、ワイら介護士は、むくみを見て「これは心不全や」とか「これは腎臓が悪いんちゃうか」とか、そういう診断をする仕事やない。資格的にもそれは許されとらん。せやけど、「昨日と違う」を見つけることは、ワイらの毎日の仕事や。むくみが昨日より強なっとらんか、歩き方が変わっとらんか、しんどそうにしとらんか、いつもと様子が違わんか。そういう小さな変化を積み重ねて見とる。診断はせんけど、気づいて、伝える。それがワイらの役割やと思っとる。
介護士が勝手に判断して動くより、気づいたことを正確に伝えることが大切やと、ワイは現場で感じてきた。
現場で実際に見とること
巡視のたびに見とるのは、足の腫れ具合だけやない。姿勢は崩れとらんか、顔色はどうか、苦しそうな表情はしとらんか、普段のこの人らしさがあるかどうか。むくみ単体で判断せんと、その人全体の様子を見て、「なんかいつもと違うな」と感じたら、看護師に伝える。この「なんか違う」の感覚は、たぶん言葉で説明しにくい部分もある。毎日同じ人を見続けとるからこそ、「いつもの状態」が頭に入ってきて、そこからのズレに気づけるんやと思う。
どの利用者さんも、日によって多少の変化はある。せやから、一回の様子だけで「おかしい」と判断するんやのうて、いつもの状態と比べてどうか、という視点を持つようにしとった。この「いつもの状態」を把握しとることが、ワイら介護士にとって一番の武器やと思う。
巡視という仕事について
巡視では、むくみだけ見とる訳やない。転倒がないか、体調に変化がないか、いろんなことをまとめて確認しながら回る、その中の一項目としてむくみのチェックもある。一人ひとりにじっくり時間をかけられるわけやないから、短い時間で多くのことを見極める力が求められる。これは知識というより、経験の中で磨かれていく感覚やと、ワイはそう感じとる。
足を少し高くして休んでもらう理由
▷ ワイの現場から
ワイが勤務しとった施設では、足のむくみが気になる利用者さんに、足を少し高くして休んでもらうことがあった。専用の足置きや、下肢を支えるクッションを使うこともあった。心臓より高い位置に足を置くことを意識しとった、というのがワイの実体験としてある。当時勤務しとった施設では、そのように教わり、その方法で対応しとった。ただし、これで「むくみが治る」とか、そういう医学的な効果をここで断言するつもりはない。あくまで、勤務しとった施設ではそういう対応をしとった、という現場の話として受け取ってほしい。
「何分上げたら効果がある」というような、決まった基準があったわけやない。その都度、目の前の様子を見ながら判断しとった、というのが実際のところや。
足を上げてもらう間も、むくみの見た目だけを追うんやのうて、苦しそうにしとらんか、楽そうにしとるかを、あわせて意識して見るようにしとった。その人全体が楽に過ごせとるかどうかが、結局は一番気にかけとった部分やった。
クッションがない時はどうしとったか
専用のクッションが手元にない時は、施設の布団を丸めて、そこに足を乗せてもらうこともあった。夏場やったら、身体にはタオルケットを掛けとった。ただ、これはワイが勤務しとった施設でのやり方であって、すべての施設が同じとは限らん。布団をクッション代わりに使わん施設も、ワイは経験しとる。施設によってルールも道具も違う、ということは家族にも知っといてほしいポイントや。ワイが勤務しとった施設では、そのように対応しとった。
なんでホールで休んでもらうんか
足を高くして休んでもらう場所は、ベッドやのうてホールになることが多かった。理由は単純で、ベッドに戻すと、利用者さんによっては一人で動いてしもて、転倒する危険があるからや。職員の目が届きやすい場所で過ごしてもらうことも、介護では大事な判断になる。
ベッドの方が静かに休めるんちゃうか、と思う人もおるかもしれん。せやけど、目の届きにくい場所で何かあった時、対応がどうしても遅れてしまう可能性がある。その可能性をできるだけ減らすために、あえてホールで過ごしてもらうという判断をすることがあった。ベッドへ戻すこと自体が悪いわけやない。せやけど、足を高くして休んでもらう時間は、どうしても普段より姿勢が制限される。その間に一人になってしまうと、体勢を直したくても直せんかったり、逆に無理に動こうとして転倒につながったりする可能性がある。そういうリスクを考えると、職員の目が届く場所で過ごしてもらう方が、結果として安全につながる、というのがワイらの考え方やった。
利用者本人から「足を上げてほしい」と言われることは、ワイの経験ではほとんど無かった。ほとんどの場合、職員側から「少し足を上げて休みましょうか」と声を掛けとった。
ホールやからって安全とは限らん
せやけど、ホールにおったら絶対安全、いうわけやない。車椅子でも椅子でも、前にずり落ちる危険はある。ずり落ちというのは、座った姿勢のまま少しずつ前や横にずれていって、最終的にバランスを崩すことを言う。本人が気づかんうちに進むことも多くて、気づいたときには結構な姿勢の崩れになっとることもある。せやから、むくみのチェックと同時に、座り直しが必要かどうかも合わせて見るようにしとった。
ホンマのところ、姿勢が崩れるのに大した時間はかからん。せやから巡視のときは、姿勢が崩れとらんか、足が置き場所から落ちとらんか、苦しそうにしとらんか、楽そうに休めとるか、そのあたりを毎回確認しとった。「見守りやすい場所に移動してもらった」ことで安心してしもて、逆に確認が疎かになってしまう、という落とし穴もある。場所を変えたら終わり、やのうて、場所を変えたからこそ、そこでの様子もちゃんと見続ける必要がある、とワイは思っとる。
足を上げた後の安全確認
足を高くして休んでもらうことは、対応のゴールやない。上げた後、ちゃんと安全に過ごせとるかを確認するところまでが、ひとつの流れになっとる。姿勢が崩れとらんか。足の位置がずれて、逆に負担になっとらんか。顔色や表情に変化はないか。楽そうにしとるか、それとも落ち着かん様子か。こういったことを、時間を決めてやのうて、他の業務の合間、通りがかったタイミングで、意識して見るようにしとった。
「足を上げた」で終わらせず、「その後どうなっとるか」まで見届ける。これが、ワイらが大事にしとる考え方や。
看護師との連携
足を上げて休んでもらう判断は、ワイら介護士だけでしとるわけやない。看護師から「今日は足を上げて休んでもらって」という申し送りがある日もあった。逆に、介護士側から気づいて看護師に相談することもあった。むくみへの対応は、介護士と看護師、両方の目で見て決めとることが多い、というのが実際のところや。
看護師も24時間ずっと現場におるわけやないから、ワイらが見た様子を、できるだけ具体的に伝えることが大事になる。「なんとなくむくんどる気がする」だけやのうて、昨日と比べてどう違うかを言葉にして伝えるよう意識しとった。
介護士が気づけるのは、日常生活の中での様子の変化や。看護師は、そこにバイタルや医学的な視点を重ねて判断する。現場では、そうした情報共有を大切にしとった。
記録に残すという仕事
気づいたことは、その場で看護師に伝えるだけやのうて、記録にも残す。次の勤務の職員にも状態を伝えるために、記録は欠かせん仕事やった。
フットサポートと下肢挙上クッションは違うもん
▷ 意外と混同されがちなポイント
車椅子には元々、足を置くフットサポート(足置き)が付いとる。あれは移動中や座っとる間、足の位置を安定させるためのもんや。一方、下肢挙上クッションは、足を少し高くして休んでもらうために使うもんで、目的が違う。フットサポートに足が乗っとるからって、むくみ対策ができとる、いうわけやない。この違いは、意外と知られてへんことが多いから、ここで軽く触れとく。この違いを知っとくと、「車椅子やから、もうむくみ対策はできとるんやな」と思い込んでしまうことを防げる。フットサポートはあくまで移動のための土台であって、むくみへの対応とは別に考えるもんや、というのがワイの感覚や。
家族に気づいてほしいポイント
面会に来たとき、靴下の跡がくっきり残っとらんか、左右の足の大きさに差がないか、急に片足だけ腫れとらんか、痛がってへんか、息苦しそうにしてへんか、いつもより元気がないんちゃうか。そういう変化に気づいたら、自己判断だけで済まさんと、施設の職員に伝えてほしい。施設ごとにやり方が違うことは、すでに書いた通りや。せやから、伝えたときの対応も施設によって多少違うかもしれん。それでも、伝えること自体に意味がある、とワイは思っとる。
家族からすると「足をクッションへ乗せているだけ」に見えるかもしれへん。せやけど現場では、その一つにも転倒、安全、体調変化、看護師との連携、いろんな意味が詰まっとる。
むくみ一つとっても、ワイら介護士がやっとることは、治療やのうて、観察と気づきの積み重ねや。足を高くするクッションも、ホールでの見守りも、記録に残す一行も、全部「昨日と違う」を見逃さんための、地味な工夫の連続やった。派手なことは何もしてへん。せやけど、その地味さの中に、ワイらなりの仕事の芯があると思っとる。
ワイら介護士は、「むくみを見る」仕事をしとるんやない。その人が今日もその人らしく過ごせとるかを見る仕事や。
よくある質問
Q. 足のむくみ、家族が自宅でマッサージしてあげてもいいんですか?
本文でも書いた通り、ワイら介護士は診断する立場やないから、マッサージがいいか悪いかもワイの立場からは判断でけへん。気になる様子があれば、自己判断で進めるより、まずは施設の職員や医療職に相談してほしいと思う。
Q. 靴下の跡がくっきり残っとったら、すぐ病院に連れて行った方がいいですか?
本文で触れた通り、片足だけ急に腫れて痛みがあるようなときは注意が必要、と教わったことがある。せやけど靴下の跡だけで一律に「病院へ」とは言い切れん。気になったら、まずは施設の職員に伝えてもらうのが一番やと思う。
Q. 施設によって対応が違うのはなんでですか?
本文でも書いた通り、専用クッションの有無や、布団を使うかどうかなど、施設によってやり方は違う。どっちが正しいというもんやのうて、それぞれの施設なりの対応がある、というのがワイの経験や。
▶ OFUSEで応援する
この記事、もし「読んでよかった」と思ってもらえたなら——
夜勤明けのワイに、コーヒー一杯だけ奢ってもらえませんか。
それだけで、次の記事を書く燃料になります。
※OFUSEの投げ銭ページへ移動します。金額は自由です。