介護が必要になったとき、車椅子や介護用ベッドが要る場面が出てくる。
そんなとき、多くの人が「買わなあかんのかな」「高そうやな」と思う。でも——ちょっと待った。それ、買う前に知っておいてほしいことがある。

車椅子も、介護用ベッドも、手すりも——介護保険を使えば、安くレンタル(貸与)できるんや。
これを知らずに、わざわざ高いお金を出して買ってしまう人が、ほんまに多い。今日は、その「福祉用具貸与」という制度について、一般の人にも分かるように解説する。知っとくだけで、介護の負担が、お金の面でぐっと軽くなるで。


「こんなものまで借りられるん!?」

ワイも、介護の専門学校で、この福祉用具貸与を習った。正直、細かいとこは忘れてた部分もあるけど(笑)、現場で20年見てきて、この制度のありがたさは、よう分かってる。

家族の介護が始まって、初めてこの制度を知った人は、だいたいこう言う。
「えっ、こんなものまで借りられるん!?」と。

車椅子。介護用ベッド。手すり。歩行器。床ずれ防止のマット。——こういうものが、買うんやなくて、月々わずかな負担でレンタルできる。
しかも、体の状態が変わったら、別のものに交換もできる。壊れたら直してもらえる。これを知ってるか知らんかで、介護にかかるお金が、全然変わってくるんや。


福祉用具貸与とは何か

福祉用具貸与とは、介護保険のサービスの一つで、日常生活や介護に必要な福祉用具を、レンタルできる制度や。

要支援・要介護の認定を受けた人が対象で、対象の福祉用具を、原則1〜3割の自己負担でレンタルできる。残りは、介護保険がカバーしてくれる。
たとえば、月のレンタル料が決まっている車椅子を借りるとき、1割負担の人なら、その1割を払えば借りられる、ということや。

なんで「貸与(レンタル)」が基本なんか。
それは、介護で使う福祉用具は、体の状態に合わせて変えていく必要があるからや。今は歩行器でええけど、半年後には車椅子が要るかもしれへん。逆に、リハビリで良くなって、要らなくなることもある。
買うてしまうと、合わなくなったときに困る。でもレンタルなら、そのときの状態に一番合うものを、柔軟に使える。これが、貸与が基本になってる理由や。


レンタルできる13品目

福祉用具貸与でレンタルできるのは、全部で13品目と決まっている。
「こんなものまで?」と思うものも、ぜひ見てほしい。

福祉用具貸与の対象13品目

車椅子(自走用・介助用・電動など)

車椅子付属品(クッション、電動補助装置など)

特殊寝台(介護用ベッド)(背上げ・高さ調整ができるベッド)

特殊寝台付属品(マットレス、ベッド柵、介助バーなど)

床ずれ防止用具(エアマットなどの体圧分散マットレス)

体位変換器(体の向きを変えるのを助ける用具)

手すり(工事不要で設置できるもの)

スロープ(段差を解消する、工事不要のもの)

歩行器(歩行を助ける器具)

歩行補助つえ(松葉づえ、多点杖など)

認知症老人徘徊感知機器(離床・徘徊を知らせるセンサー)

移動用リフト(つり具部分を除く)(体を持ち上げて移動させる機器)

自動排泄処理装置(本体部分)(排泄物を自動で吸引する機器)

どうやろ。「ベッドも借りられるんや」「徘徊を知らせるセンサーまであるんや」「リフトも!?」と、驚いたものがあったんやないやろか。
特に、介護用ベッド(特殊寝台)は、買うと数十万することもある高価なもの。それがレンタルできるのは、家計にとって、めちゃくちゃ大きい。
認知症の人の徘徊を感知するセンサーや、寝たきりの人を持ち上げるリフトまで対象になってるのも、知らん人が多いポイントや。


介護度によって、借りられるものが変わる

ただし、注意点がある。13品目すべてを、誰でも借りられるわけやない。介護度(要支援・要介護のレベル)によって、借りられるものが変わる。

考え方としては、「軽い人に、重装備の福祉用具は要らんやろ」ということや。
たとえば、車椅子や介護用ベッド、床ずれ防止用具、徘徊感知機器、リフトなどは、原則として要介護2以上の人が対象になる。比較的、介護度が重い人向けの用具やからな。

一方で、手すり、スロープ、歩行器、歩行補助つえの4品目は、要支援1から要介護5まで、誰でも借りられる。これらは、軽度の人でも転倒予防などに役立つからや。

借りられる範囲のめやす

要支援1〜2、要介護1でも借りられる:手すり、スロープ、歩行器、歩行補助つえ

原則 要介護2以上:車椅子、介護用ベッド、床ずれ防止用具、体位変換器、徘徊感知機器、リフト など

※軽度でも、状態によって例外的に認められる場合があります。ケアマネジャーに相談を。

「うちの親は要介護1やから、車椅子は無理なんか」と思っても、諦めんでええ。
状態によっては、例外的に認められることもある。そのあたりは、ケアマネジャー(介護の相談役)が判断してくれるから、まずは相談するのが一番や。


なぜ「買う」より「借りる」のか

ここで、改めて「なんで買うより借りる方がええのか」を、整理しておく。メリットは、はっきりしてる。

レンタル(貸与)のメリット

費用が安い:高価な福祉用具も、月々わずかな負担で使える

体の状態に合わせて交換できる:状態が変われば、別のものに変えられる

メンテナンスしてもらえる:壊れたり調子が悪くなったら、修理・交換してもらえる

要らなくなったら返せる:使わなくなったら返却するだけ。処分に困らない

専門家が選んでくれる:体に合ったものを、プロが選定してくれる

特に大きいのが、「体の状態に合わせて変えられる」という点や。
介護は、状態がどんどん変わる。買うてしまったら、その変化についていけへん。でもレンタルなら、いつでも今の状態に一番合うものを使える。
さらに、メンテナンス込みというのも見逃せへん。福祉用具は、使ってると傷んでくる。レンタルなら、専門の業者が定期的に点検して、必要なら直してくれる。買うたら、その手間と費用は全部自分持ちや。

そして、処分の問題。介護用ベッドや車椅子は、要らなくなったとき、捨てるのも一苦労や。大きいし、重いし、粗大ゴミの手続きも要る。レンタルなら、返すだけ。これも、地味やけど大きなメリットや。


「買う」福祉用具もある(特定福祉用具販売)

ここまでレンタルの話をしてきたけど、すべての福祉用具がレンタルできるわけやない。中には、「買う」のが基本のものもある。これを特定福祉用具販売という。

なんで買うんか。それは——他人が使ったものを、再利用するのに抵抗があるものや、使うと形が変わって、再利用できないものやからや。
具体的には、こういうものや。

「買う」のが基本の福祉用具(特定福祉用具販売)

腰掛便座(ポータブルトイレなど)

入浴補助用具(シャワーチェア、浴槽内の手すりや椅子など)

簡易浴槽

移動用リフトのつり具部分(体に直接触れる部分)

自動排泄処理装置の交換可能部品

これらは、考えてみたら当然や。
ポータブルトイレや、お風呂で使う椅子なんかは、直接肌に触れて、排泄や入浴に使うもの。「他人が使ったものを借りる」のは、心理的に抵抗があるやろ。だから、これらは「買う」のが基本になってる。
この特定福祉用具販売も、介護保険の対象や。年間10万円を上限に、購入費の1〜3割負担で買える(残りは介護保険がカバー)。


2024年から始まった「選択制」

ここで、新しい制度の話をしておく。2024年(令和6年)4月から、「貸与か販売か、選べる」選択制が始まった。

これまで「レンタルのみ」やった13品目のうち、比較的安くて、長く使うものについては、「借りてもええし、買うてもええ」と、利用者が選べるようになった。

2024年から「借りる/買う」が選べるようになったもの

固定用スロープ(持ち運びしないタイプ)

歩行器(歩行車を除く)

歩行補助つえ(単点杖・多点杖。松葉づえを除く)

なんでこういう制度になったか。
これらは、比較的安価で、長く使い続けることが多い。そういうものは、ずっとレンタル料を払い続けるより、買うた方が、結果的に安くなることがあるからや。
たとえば、単点杖を何年も使うなら、毎月レンタル料を払うより、一度買うた方がトータルで安い、ということがある。

ただし、注意点もある。買うと、メンテナンスは自分持ちになる(レンタルなら業者がやってくれる)。長く使ううちに傷んでも、自分で何とかせなあかん。
だから、「借りるか、買うか」は、使う期間や、メンテナンスのことも考えて、ケアマネや福祉用具の専門相談員と相談して決めるのがええ。


費用はどれくらいか

気になるお金の話や。福祉用具貸与の費用は、レンタルする品目と、自己負担の割合で決まる。

福祉用具には、それぞれ月々のレンタル料が設定されている。利用者は、その1〜3割(所得によって変わる)を負担する。残りは、介護保険が払ってくれる。

たとえば、ある介護用ベッドの月のレンタル料が決まっているとして、1割負担の人なら、その1割を毎月払えば借りられる、ということや。買えば数十万するベッドが、月々わずかな負担で使える。これが、介護保険のありがたさや。

ただし、福祉用具貸与は、介護保険の「支給限度額」の中に含まれることは知っておいてほしい。
介護保険には、「要介護度ごとに、1ヶ月に使えるサービスの上限額」が決まっている。デイサービスやヘルパーなど、他のサービスと合わせて、この上限を超えると、超えた分は全額自己負担になる。
福祉用具のレンタルも、この枠を使う。だから、他のサービスとのバランスを見ながら使うことになる。このあたりも、ケアマネが調整してくれる。


借りるまでの流れ

ほな、実際に福祉用具を借りるには、どうしたらええんか。流れを説明する。

  1. 要支援・要介護の認定を受ける まず、お住まいの市区町村に申請して、要介護認定を受ける。これがないと、介護保険のサービスは使えへん。
  2. ケアマネジャーに相談する 担当のケアマネジャー(介護支援専門員)に、「こんな福祉用具が要る」と相談する。ケアマネが、必要性を判断して、ケアプランに組み込んでくれる。
  3. 福祉用具貸与事業所・専門相談員と選ぶ 福祉用具を扱う事業所の「福祉用具専門相談員」が、体の状態や住まいに合わせて、最適な用具を選んでくれる。実際に試せることも多い。
  4. 契約して、レンタル開始 用具が決まったら契約して、自宅に届けてもらう。使い方の説明も受けられる。
  5. 定期的な点検・見直し 借りた後も、専門相談員が定期的に点検したり、体の状態に合っているか見直したりしてくれる。

ポイントは、一人で抱え込まず、ケアマネジャーに相談することや。
「何が必要か分からへん」「どれを選べばええか分からへん」——それで当たり前や。そのために、ケアマネや福祉用具の専門相談員がおる。プロに任せれば、体に合ったものを、ちゃんと選んでくれる。


知らないと損する、現場からのアドバイス

最後に、20年現場におるワイから、福祉用具貸与について、知っておいてほしいことを書く。

① まず「買う前に」相談を

一番伝えたいのは、これや。福祉用具が必要になったら、買う前に、まずケアマネに相談してほしい。
「車椅子が要るから」と、慌ててネットや店で買ってしまう人がおる。でも、それがレンタル対象なら、買わずに、安く借りられたかもしれへん。知らずに買うのは、ほんまにもったいない。

② 体に合ったものを選ぶことが大事

福祉用具は、「あればええ」もんやない。その人の体に、ちゃんと合っていることが大事や。
たとえば車椅子も、体格や状態に合わへんものを使うと、かえって床ずれや転倒の原因になる。レンタルなら、専門相談員が体に合ったものを選んでくれるし、合わなければ変えられる。これが、レンタルの大きな強みや。

③ 状態が変わったら、遠慮なく見直しを

介護は、状態が変わっていく。「最初に借りたものが、ずっと最適」とは限らへん。
歩けるようになったら歩行器に変える。逆に弱ってきたら車椅子に変える。状態が変わったら、遠慮なくケアマネや専門相談員に「見直したい」と言うてええ。レンタルは、そういう柔軟さが売りなんやから。

福祉用具貸与は、知ってるか知らんかで、介護の負担が——お金の面でも、体の面でも——大きく変わる制度や。
「こんなものまで借りられるんや」と知っておくだけで、いざというとき、慌てずに済む。そして、賢く使えば、介護する側も、される側も、ずっと楽になる。
これは、現場で20年見てきたワイが、自信を持って言えることや。


親の介護が始まって「車椅子やベッド、どうしよう」と悩んでる人、福祉用具にかかるお金が不安な人——この記事が、「買う前に、まず相談」という選択肢を知るきっかけになったなら、夜勤明けにこれを書いてる甲斐があるってもんや。
まずは、お住まいの地域包括支援センターや、ケアマネジャーに相談してみてほしい。

この記事、もし「読んでよかった」と思ってもらえたなら——
夜勤明けのワイに、コーヒー一杯だけ奢ってもらえませんか。
それだけで、次の記事を書く燃料になります。

コーヒー一杯、奢ってみる

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