この記事は、やきんかいごが介護現場で実際に体験・見聞きした出来事をもとに書いています。個人が特定されないよう、一部内容を変更・再構成しています。介護の実態をリアルにお伝えすることを目的としており、特定の施設・個人を批判する意図はありません。
介護の現場で「透析」はよく出てくる

介護の仕事をしてると、透析をしている利用者さんと関わる場面がけっこうある。週に3回、病院に透析に行く。そういうスケジュールを持ってはる人が施設にいることは、珍しくない。
でも「透析ってそもそも何?」と聞かれると、うまく説明できへんという人も多いと思う。今日はそういう人に向けて、できるだけわかりやすく書いてみる。
まず腎臓のことを知っておこう
透析を理解するには、腎臓の話から始めるのが一番わかりやすい。
腎臓は背中のあたりに左右ひとつずつある、にぎりこぶしくらいの大きさの臓器や。主な仕事は3つで、血液の中のいらないものや毒素をこしとること、水分のバランスを調整すること、そしておしっことして体の外に出すことや。
簡単に言うと「血液をきれいにする浄水器」みたいなイメージやな。この腎臓がうまく働かなくなると、体の中に毒素や余分な水分がどんどん溜まっていく。それが「腎不全」という状態や。
透析は腎臓の代わりをしてくれる
腎臓が機能しなくなった時に、腎臓の代わりに血液をきれいにしてくれるのが透析や。
透析には大きく2種類ある。
ひとつは「血液透析(HD)」や。腕などに針を刺して血液を体の外に出し、機械でろ過してきれいにしてからまた体の中に戻す。週に3回、1回あたり4〜5時間ほどかかる。介護施設でよく見るのはこのタイプや。
もうひとつは「腹膜透析(PD)」や。お腹の中に特殊な液体を入れて、お腹の内側の膜を使って血液をきれいにする方法で、自宅でできるため生活の自由度が高い。
どんな人が透析をすることになるんやろ
腎臓の機能がある程度以下まで落ちてしまった人が、透析が必要になる。主な原因として多いのが糖尿病、高血圧、慢性腎炎や。
特に糖尿病は、日本で透析が必要になる原因の第1位と言われている。長年血糖値が高い状態が続くことで腎臓の細かい血管が傷んでいき、最終的に透析が必要になる「糖尿病性腎症」という流れが多い。
介護の現場でも、長年糖尿病を抱えてはった利用者さんが透析をされているケースをよく見てきた。
なんで水分制限が必要なんやろ
透析をしている人には、水分制限がつきものや。これがなかなかつらい制限でもある。
なぜかというと、腎臓が働いていないと飲んだ水分が体の外に出ていかないからや。健康な人なら水を飲みすぎてもおしっことして余分な水分を外に出せる。でも腎臓が機能していないと、それができへん。
水分が体に溜まりすぎると、足や顔がむくむ、肺に水が溜まって息苦しくなる、心臓に負担がかかって危険な状態になる、といったことが起きてくる。
透析と透析の間に体重が増えすぎると、次の透析で一気に水分を抜かなあかんくなって体への負担がとても大きくなる。だから「1日◯リットルまで」という制限があるんや。水だけやなく、汁物やゼリーも全部水分としてカウントされる。
食事制限もある
水分だけやなく、食事にも気をつかう必要がある。塩分は摂りすぎると喉が渇いて水分を多く飲んでしまうため制限される。カリウムは果物や野菜に多く含まれるミネラルやけど、腎臓が弱ると体に溜まりやすく心臓に悪影響を及ぼすことがある。リンは骨や歯を弱らせる原因になるため、これも気をつける必要がある。
食べたいものが食べられへん、飲みたい時に飲まれへん。透析をしている方の生活は、いろんな制限との戦いでもある。
現場で感じてきたこと
透析のある利用者さんは、週に何度も何時間もかけて病院に通いながら、それでも施設での生活をちゃんと送ってはる。
「しんどいけど、やらんと生きていかれへんから」
そういう言葉を聞くたびに、その人の生きることへの強さみたいなものを感じてきた。
透析のことを知っておくと、その人の生活の背景や制限の意味がよりわかるようになる。介護に関わる人にも、ぜひ知っておいてほしい知識のひとつやと思う。