夜勤介護マンの日記

介護現場で感じたことを、体験ベースで書いています

【介護現場】ティッシュを口に入れていた理由

※これは20年以上の介護現場経験をもとにした内容です。医学的な診断・治療については専門医にご相談ください。
※特定の個人・施設を否定する意図はありません。
※見出し画像は内容をもとにしたイメージ画像です。

 

異食行為って何やろ

「異食(いしょく)」という言葉、介護の現場では時々出てくるけど、一般的にはあまり聞き慣れへん言葉かもしれへん。

異食とは、食べ物ではないものを口に入れたり、食べようとしたりする行為のことや。

ティッシュ、土、石鹸、紙、排泄物、薬の包装シート。現場で実際に目にしてきたものを挙げるだけでも、想像を超えるものが出てくる。

「なぜそんなことを」と思う人も多いと思う。でもこれは本人が悪いわけやない。認知症や発達障害、精神疾患などによって起きることがある、れっきとした症状のひとつや。

なぜ起きるんやろ

異食が起きる原因はひとつではない。いくつかの要因が重なって起きることが多い。

認知症が進むと、目の前にあるものが食べ物かどうかの判断が難しくなってくる。形や色が似ていれば、食べ物として認識してしまうことがある。ティッシュや紙類は特に口に入れやすいものとして現場でよく見てきた。

空腹感の認識がうまくできなくなることも原因のひとつや。「お腹が空いた」という感覚はあるけど、それをうまく伝えられへんまま、手近なものを口に入れてしまうことがある。

口寂しさや不安、刺激を求める行動として出ることもある。赤ちゃんが何でも口に入れるのと似た状態が、認知症の進行によって起きることがあると言われている。

本人には悪意も自覚もない。それが異食行為の難しいところや。

現場ではこんな場面があった

介護の現場で働いていると、異食の場面に出くわすことがある。

居室に入ったら、ティッシュを口いっぱいに頬張っていた。テーブルの上に置いてあった消しゴムをかじっていた。ポケットに入っていた薬の包装シートを飲み込もうとしていた。

気づいた時には、すでに飲み込んでいることもある。その場合は状況を記録して、医療職に報告する。場合によっては病院での処置が必要になることもある。

誤飲したものによっては、命に関わることもある。だからこそ、異食のリスクがある方の周囲の環境を整えることが、介護職の大切な仕事のひとつになってくる。

予防と対応、現場でやっていたこと

異食のリスクがある方への対応で、まず基本になるのが環境整備や。

口に入れやすいものを手の届く場所に置かない。ティッシュボックスはすぐ取れない場所に移す。テーブルの上を整理して、余計なものを置かないようにする。小さくて飲み込みやすいものは特に注意が必要や。

食事の量や回数を見直すことも有効な場合がある。空腹が原因であれば、間食を取り入れることで異食が減ることがある。

口寂しさが原因の場合は、歯ブラシや口腔ケアグッズで口の中を刺激する方法も試されることがある。

それでも完全には防げへんのが現実や。目を離せない時間が続くことの消耗感は、経験した人にしかわからへん部分がある。

知っておくことで、気づける

異食行為は、知らへん人が見たら驚いたり、ショックを受けたりすることがある。でもそれが認知症の症状として起きうることを知っておくだけで、冷静に対応できるようになる。

「なんでこんなことを」ではなく、「この人に今何が起きているのか」を考えられるかどうか。その違いが、ケアの質に大きく関わってくると現場で感じてきた。