※これは20年以上の介護現場経験をもとにした内容です。医学的な診断・治療については専門医にご相談ください。
※特定の個人・施設を否定する意図はありません。
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脳梗塞って何やろ
脳梗塞は、脳の血管が詰まることで、その先の脳細胞に血液が届かなくなり、細胞が壊死してしまう病気や。
脳は全身の司令塔やから、どの部分がダメージを受けるかによって、出てくる症状がまったく違ってくる。運動をつかさどる部分がやられたら手足が動かなくなるし、言語をつかさどる部分がやられたら言葉が出なくなる。それが脳梗塞の怖さのひとつや。
日本人の死因の中でも上位に入り続けている病気で、介護が必要になる原因としても非常に多い。現場でも脳梗塞の後遺症を持つ利用者さんに関わることは日常的にあった。
前兆を知っておくことが大切や
脳梗塞には「TIA(一過性脳虚血発作)」と呼ばれる前兆が出ることがある。一時的に脳への血流が途絶えて、症状が出るけどすぐに回復するというものや。
「一時的に治った」からといって安心したらあかん。TIAが起きた後、数日以内に本格的な脳梗塞を起こすリスクが非常に高いと言われている。前兆が出たら、症状が消えても必ず病院に行くことが大切や。
前兆としてよく知られているのがこういった症状や。突然片側の手足や顔がしびれる、または動かしにくくなる。突然言葉が出なくなる、または相手の言葉が理解できなくなる。突然片方の目が見えにくくなる、または視野の一部が欠ける。突然激しいめまいがして、立っていられなくなる。今まで経験したことがないような激しい頭痛が突然起きる。
「突然」というのがキーワードや。じわじわではなく、突然起きるのが脳梗塞の前兆の特徴やと覚えておいてほしい。
「FAST」で素早く気づく
脳梗塞の症状に気づくための合言葉として「FAST」というものがある。海外で広まって、日本でも使われるようになってきた。
Fはフェイス(顔)。片側の口角が下がっていないか、顔がゆがんでいないか。Aはアーム(腕)。両腕を前に出した時に、片方だけ下がってしまわないか。Sはスピーチ(言葉)。言葉がうまく出ない、呂律が回っていないということはないか。Tはタイム(時間)。これらの症状が出たら、すぐに救急車を呼ぶ。
脳梗塞は発症から治療までの時間が短いほど、後遺症が少なくて済む可能性が高い。気づいた時点で迷わず動くことが、その人の人生を大きく左右する。
なりやすい人はどんな人やろ
脳梗塞には、リスクを高める要因がいくつかある。
高血圧は最大のリスク因子や。血圧が高い状態が続くと血管が傷つきやすくなり、詰まりや破れのリスクが上がる。糖尿病も血管を傷める原因になるし、脂質異常症(コレステロールや中性脂肪が高い状態)も動脈硬化を進める。
心房細動という不整脈も脳梗塞と深く関係している。心臓の中で血液がよどんで血栓ができやすくなり、それが脳に飛んで詰まるというパターンや。介護現場でも心房細動のある利用者さんに抗凝固薬が処方されているケースをよく見てきた。
喫煙も血管を傷める大きな原因になる。肥満や運動不足、過度な飲酒も重なればリスクはさらに上がる。
これらが重なるほど、リスクは積み重なっていく。ひとつひとつは「よくあること」でも、組み合わさると危険や。
普段から気をつけること
脳梗塞の予防で一番大切なのは、リスク因子をひとつずつ減らしていくことや。
血圧の管理は特に重要で、定期的に測定する習慣をつけることが大切や。「なんとなく元気やから大丈夫」では把握できへん。数字で確認することが必要や。
食事は塩分を控えて、野菜や魚を意識的に取り入れる。適度な運動を習慣にする。禁煙する。お酒は適量にとどめる。どれも地味に聞こえるけど、血管を守ることに直結している。
水分補給も見落とされがちやけど大切や。脱水になると血液がドロドロになって詰まりやすくなる。高齢者は特に水分を取りたがらない方が多いけど、現場では意識的に声かけをしてきた。
知っておきたいこと、もう少し
脳梗塞には大きく3つの種類がある。アテローム血栓性脳梗塞は動脈硬化で血管が詰まるタイプ。心原性脳塞栓症は心臓でできた血栓が飛ぶタイプで、心房細動が関係することが多い。ラクナ梗塞は脳の深い部分の細い血管が詰まる小さな梗塞で、高血圧との関係が深い。
治療には血栓を溶かす「t-PA療法」というものがあって、発症から4時間半以内に投与できれば大きな効果が期待できる。だからこそ、気づいた瞬間に動くことが命取りにならないための鍵になる。
後遺症としては片麻痺、言語障害、嚥下障害、認知機能の低下などが出ることがある。リハビリによって機能を回復できる可能性はあるけど、どこまで戻るかは人によって大きく違う。
脳梗塞は「なってから」では遅い部分が多い病気や。知識として持っておくことが、自分や身近な人を守ることにつながる。