※本記事は20年以上前の現場経験をもとにした内容です。現在の制度や運用とは異なる部分がありますので、参考情報としてご覧ください。

在宅強化型老健とは――認定基準と施設の役割を解説
在宅強化型老健の位置づけ
介護老人保健施設(老健)には、施設の機能や取り組みに応じた複数の区分があります。その中でも在宅強化型は、在宅復帰を前提とした支援を行う施設として位置づけられています。
入所はあくまでも通過点であり、「自宅へ戻ること」を明確な目標に据えてケアやリハビリを提供するのが、この区分の基本的な考え方です。
認定の仕組み――在宅復帰・在宅療養支援等指標
在宅強化型として認定されるためには、在宅復帰・在宅療養支援等指標による評価をクリアする必要があります。
この指標は全10項目で構成されており、各項目を点数化した合計が60点以上であることが認定の条件です。
評価10項目の内容
① 在宅復帰率 50%以上
退所者のうち、自宅・グループホーム・サービス付き高齢者向け住宅などへ戻った方の割合が半数を超えること。全項目の中でも特に重要な基準です。
② ベッド回転率 10%以上
入退所の動きが一定水準以上あること。退所が滞り、同一の入所者が長期にわたって占有している状態では、この基準を満たせません。
③ 要介護4・5の入所者割合 35%以上
重度の方を一定割合以上受け入れていることが求められます。軽度者に偏った受け入れでは評価の対象になりません。
④ 個別リハビリの実施 週3回・1回20分程度
継続的かつ一定の頻度・時間を確保した個別リハビリの提供が前提となります。
⑤〜⑩ その他の評価項目
残りの項目には以下が含まれます。
- 入所前後・退所前後における訪問指導の実施
- 居宅サービスの提供体制
- リハビリ専門職・支援相談員の配置
- 喀痰吸引・経管栄養への対応能力
以上10項目の合計が60点以上となった施設が、在宅強化型として認定されます。
在宅強化型が増加している背景
老健はもともと、「在宅復帰を支援するための中間施設」として制度設計されています。在宅強化型への移行は、その本来の役割を改めて明確化するための国の方針です。
また、この基準を満たさない場合は介護報酬が引き下げられる仕組みになっています。制度上の評価と報酬が連動していることから、在宅強化型へ移行する施設は増加傾向にあります。
入所を検討されている方へ
入所の相談や説明の場で「在宅強化型」という言葉が出ることがあります。
どのような基準のもとで運営されている施設なのかを事前に把握しておくことは、施設選びの判断材料として有効です。本記事がその一助となれば幸いです。