夜勤って、静かに見えて、ふいに「予想外」がやってくる。
今日書くのは、ある夜に聞こえてきた、ちょっと笑ける音の話や。

重い話ばっかりやと、こっちもしんどくなるからな。
たまには、こういう和む夜の話も書かせてや。


夜中の「パン、パン」

夜勤中、詰所で記録を書いていると——廊下の奥の部屋から、「パン、パン」と音が聞こえてきた。

パン、パン。

最初は、誰かが手を叩いているのかと思った。
ただ、夜中にそんな音が続くのは珍しい。「何やろ」と思って、様子を見に行った。

夜勤をしてると、音には敏感になる。
物が落ちる音、人が動く音、コールの音——音の一つひとつに、「何かあったか?」と反応する。
この「パン、パン」も、確かめに行かなあかん音やった。


まさかの正体

部屋に入ると——利用者のおばあさんが、オムツを外して、自分のお尻を叩いていた。

……お尻やった。

手を叩いていると思っていた音の正体が、まさかのお尻。
予想外すぎて、一瞬、理解が追いつかなかった。
「パン、パン」の正体が、まさかそれとは。誰が想像できるやろか。


「ええ音するやろ〜」

思わず理由を聞くと、おばあさんは、にっこりしながら一言。

「ええ音するやろ〜」

その言い方が、あまりにも自然で。しかも、少し嬉しそうやった。
思わず、こっちも笑いそうになった。

怒る気にも、止める気にも、すぐにはなれへんかった。
だって、本人がこんなに満足げに「ええ音するやろ〜」と言うてるんやから。
その表情の、なんとも言えん可愛らしさに、ワイの方が和んでしもた。


一晩中「パン、パン」

しかも、その行動は、一度では終わらへん。

夜によっては何度も繰り返し、ひどいときには、一晩中「パン、パン」と音が続くこともあった。
止めても、少しすると、また始まる。

本人にとっては、楽しいのか、落ち着くのか。その理由は、はっきりしない。
でも、その姿はどこか可愛らしくて、怒るより先に、和んでしまうこともあった。

ただ——その代わり、朝になると眠そうにしている。
朝食の時間になっても目が開かず、「眠たい」と言って、食事が進まないこともあった。
そこだけは、少し心配になる。夜に「パン、パン」してた分、朝はぐったりや。
まあ、夜中にあれだけええ音を鳴らしてたら、そら眠たいわな。


同じ夜は、ひとつもない

夜勤は静かに見えて、実際はこういう予想外の出来事が、ふいに起こる。

そして、そのひとつひとつが、その人なりの過ごし方なんやと思う。
「お尻を叩く」のも、傍から見たら不思議な行動やけど、本人にとっては、何か心地よかったり、落ち着いたりするんかもしれへん。
それを頭ごなしに止めるんやなく、「この人は今、こういう時間を過ごしてるんやな」と受け止める。それも、夜勤の仕事の一つや。

介護現場は、毎晩同じようでいて、同じ夜はひとつもない。

重い夜もあれば、こうして和む夜もある。
しんどいことばっかりやないんやで、というのも、現場のリアルや。

でもな——この婆ちゃん、滅茶苦茶可愛いねんな。
「ええ音するやろ〜」のあの顔は、今でも思い出すと、ちょっと笑ってまうわ。


夜勤で「予想外」に出くわした経験がある人、現場のクスッとする話が好きな人——この記事で、ちょっとでも肩の力が抜けたなら、夜勤明けにこれを書いてる甲斐があるってもんや。

この記事、もし「読んでよかった」と思ってもらえたなら——
夜勤明けのワイに、コーヒー一杯だけ奢ってもらえませんか。
それだけで、次の記事を書く燃料になります。

コーヒー一杯、奢ってみる

※OFUSEの投げ銭ページへ移動します。金額は自由です。