介護保険のサービスを使いたい。そう思ったとき、いちばん最初にやることがある。
それが——要介護認定(ようかいごにんてい)を受けることや。

でも、いざとなると、「どこに申請したらええの?」「何から始まるの?」が分かりにくくて、最初に戸惑う人が、少なくない。
ワイが専門学校で、この流れを勉強していた頃。家で教科書を広げていると、隣でばあちゃんも一緒に聞いていた。気づけば、近所の人や兄弟に説明するようになっていた。それくらい、一度知っておくと、役に立つ知識や。今日は、その要介護認定について、流れと、対象になる人を、分かりやすく解説する。


介護保険を使う、最初の一歩

介護保険のサービス——デイサービス、訪問介護、施設への入所、福祉用具のレンタルなど——は、申し込んだら、すぐ使えるわけやない。
まず、「あなたは、どれくらい介護が必要か」を、公的に判定してもらう必要がある。その判定が、要介護認定や。

なんで、こんな手続きが要るのか。
介護保険は、みんなで出し合った保険料と税金で、運営されている。だから、「本当に介護が必要な人に、必要なだけ」サービスが届くように、公平に、客観的に、介護の必要度を判定する仕組みが要る。それが、要介護認定なんや。介護保険という制度を使うための、入り口の「関所」みたいなもんやな。

この認定で決まった「介護度」によって、使えるサービスの量(上限)が変わる。
だから、要介護認定は、介護生活のスタート地点であり、その後のすべてに関わる、大事な手続きや。まずは、ここを通らなあかん。流れを知っておけば、いざというとき、慌てずに済むで。


要介護認定とは

要介護認定とは、ひとことで言うと——「介護がどれくらい必要かを判定し、区分を決める手続き」や。

判定の結果は、「非該当」「要支援1〜2」「要介護1〜5」という区分で表される。
数字が大きいほど、介護の必要度が高い。いちばん重いのが「要介護5」や。この区分によって、介護保険で使えるサービスの種類や量が決まる。

大事なのは、この判定が、誰か一人の主観で決まるんやないということや。
決められた調査項目、主治医の意見、コンピューターによる判定、専門家の審査会——いくつものステップを経て、客観的に、公平に決まる。「あの人は優しいから要介護3」みたいな、いい加減な決め方はせえへん。きっちりした仕組みがある。その流れを、これから順番に見ていくで。


誰が対象になるのか

まず、知っておきたいのが——「誰が、要介護認定を受けられるのか」や。
介護保険に加入しているのは、40歳以上のすべての人。でも、年齢によって、2種類に分かれる。

区分
第1号被保険者
第2号被保険者
年齢
65歳以上
40〜64歳
対象
原因を問わず、介護が必要になれば対象
「特定疾病」が原因のときだけ対象

65歳以上(第1号被保険者)は、シンプルや。
原因が何であれ、介護や支援が必要な状態になれば、要介護認定を受けて、サービスを使える。年を取って体が弱った、転んで骨折した、認知症になった——理由は問わへん。

問題は、40〜64歳(第2号被保険者)や。
この世代は、介護保険料を払ってはいるけど、「特定疾病」が原因で介護が必要になった場合だけ、要介護認定を受けられる。それ以外の原因——たとえば交通事故で介護が必要になった、みたいなケースでは、介護保険は使えへん。ここが、意外と知られてへん、大事なポイントや。


40〜64歳でも対象になる「特定疾病」

では、その「特定疾病(とくていしっぺい)」とは、何か。
これは、加齢にともなって起こりやすく、介護が必要になる可能性が高い、と国が定めた16種類の病気のことや。

40〜64歳の人が、この特定疾病が原因で、介護が必要な状態になった場合。
そのときは、65歳未満でも、要介護認定を受けて、介護保険のサービスを使える。若くても、深刻な病気で介護が必要になった人を、救うための仕組みや。たとえば、若年性の認知症や、末期がん、ALSなどが、これにあたる。

この特定疾病、介護の勉強をする人にとっては、定番の暗記項目や。
ケアマネや、介護福祉士、看護師の試験でも、よく問われる。ワイも、専門学校で必死に覚えた記憶がある。「16個もあるんか…」と、ため息をついたもんや。でも、現場に出ると、この知識が、ちゃんと役に立つ。次に、その16種類を、挙げておくで。

⚠ ここが間違えやすい

40〜64歳は「特定疾病」が原因のときだけ対象です。同じ病気でも、交通事故など特定疾病以外が原因の場合は、介護保険の対象外になります。また、がんは「末期」が対象です。


特定疾病16種類の一覧

国が定める、特定疾病の16種類は、以下の通りや。
難しい病名も多いけど、「こういう病気が対象なんや」と、ざっと眺めてもらえたらええ。

特定疾病(16種類)

①がん(末期)/②関節リウマチ/③筋萎縮性側索硬化症(ALS)/④後縦靭帯骨化症/⑤骨折を伴う骨粗鬆症/⑥初老期における認知症(若年性のアルツハイマー病・脳血管性認知症など)/⑦進行性核上性麻痺・大脳皮質基底核変性症およびパーキンソン病(パーキンソン病関連疾患)/⑧脊髄小脳変性症/⑨脊柱管狭窄症/⑩早老症(ウェルナー症候群など)/⑪多系統萎縮症/⑫糖尿病性神経障害・糖尿病性腎症・糖尿病性網膜症/⑬脳血管疾患(脳梗塞・脳出血など)/⑭閉塞性動脈硬化症/⑮慢性閉塞性肺疾患(COPD)/⑯両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

この16種類は、どれも「加齢と関係が深く、介護が必要になりやすい」病気として、選ばれている。
ポイントは、「がんは末期が対象」ということ。それと、若い世代の認知症(初老期の認知症)も、ちゃんと入っている。これらの病気で、40〜64歳の人が介護が必要になったら、介護保険が使える。覚えておくと、いざというときに役に立つ知識や。


【流れ①】申請する

ここからは、要介護認定の「流れ」を、5つのステップで見ていく。
まず、すべては「申請」から始まる。

申請先は、市区町村の窓口、地域包括支援センター、居宅介護支援事業所など。
「どこに行けばいいか分からん」というときは、まず市区町村の役所の介護保険の窓口か、地域包括支援センターに行けば、間違いない。

申請は、本人だけやなく、家族や、ケアマネジャーが、代わりに申請することもできる
本人が動けない、手続きが難しい——そんなときは、家族が代わりに行ける。ケアマネに頼むこともできる。一人で抱え込まず、周りの力を借りたらええ。申請のとき、65歳以上の人は介護保険被保険者証、40〜64歳の人は医療保険の被保険者証が必要になる。


【流れ②】認定調査(74項目)

申請をすると、次に「認定調査」が行われる。
市区町村の職員や、委託を受けた調査員が、自宅や施設を訪問してきて、本人の状態を、細かく確認する。

この調査は、全国共通の調査票を使って、たくさんの項目をチェックする
項目数は、おおむね74項目とされる(※項目は見直されることがある)。身体の動き(歩ける? 立てる? 寝返りは?)、生活の様子(食事・排泄・着替えは自分でできる?)、認知機能(物忘れは? 意思疎通は?)など、日常生活の様子を、細かく聞き取り、観察する。

この認定調査は、判定の土台になる、大事なステップや。
ここで、本人の「ありのままの状態」を、正確に伝えることが大切や。普段、できないことを「できる」と見栄を張ってしまうと、実際より軽く判定されて、必要なサービスが受けられなくなる。家族が立ち会って、普段の様子を補足するのも、ええ方法やで。


【流れ③】主治医意見書

認定調査と並行して、もう一つ、進められることがある。「主治医意見書」や。

市区町村から、本人の主治医(かかりつけ医)に、意見書の作成が依頼される
この意見書には、本人の病気の状態や、医学的な観点から見た介護の必要性などが、書かれる。これが、判定のもう一つの重要な材料になる。

ありがたいことに、この主治医意見書は、本人や家族が、直接手配する必要はない
市区町村が、主治医に直接依頼してくれる。だから、申請のときに「かかりつけのお医者さんは誰か」を伝えておけばええ。手続きとしては、市区町村が進めてくれる流れになっている。もし、かかりつけ医がいない場合は、市区町村が指定する医師の診察を受けることになる。


【流れ④】一次判定・二次判定

調査結果と、主治医意見書がそろったら、いよいよ「判定」に入る。判定は、2段階や。

一次判定(コンピューター判定)

まず、認定調査の結果(74項目など)と、主治医意見書の一部の情報をもとに、コンピューターが、自動的に判定する。
これが「一次判定」や。全国共通のソフトで、客観的に、機械的に、介護度の目安を出す。

二次判定(介護認定審査会)

次に、その一次判定の結果と、主治医意見書、調査員の特記事項などをもとに、「介護認定審査会」が、最終的な判定をする。
この審査会は、保健・医療・福祉の専門家で構成される。コンピューターだけでは拾いきれない、個別の事情も考慮して、最終的な介護度を決める。これが「二次判定」や。

機械による客観的な一次判定と、専門家による二次判定。この2段階で、公平性と、個別事情への配慮を、両立させている。


【流れ⑤】認定結果の通知(8区分)

二次判定が終わると、認定結果が、通知される。
結果は、原則として、申請から30日以内に通知されることになっている。

認定区分は、「非該当」「要支援1〜2」「要介護1〜5」の、8段階や。

認定区分(8段階)

非該当(自立):介護保険のサービス対象外(地域支援事業などは使える場合あり)

要支援1〜2:比較的軽度。介護予防のサービスが中心

要介護1〜5:介護が必要な状態。数字が大きいほど重い

※もっとも介護度が高いのが「要介護5」です。

この区分によって、介護保険で使えるサービスの量(支給限度額)が変わる。
要介護5に近いほど、たくさんのサービスを使える。逆に、要支援だと、使えるサービスは限られる。もし、判定結果に納得がいかない場合は、市区町村に相談したり、不服申し立てをしたりすることもできる。


有効期間と、更新・区分変更

要介護認定は、一度受けたら、ずっと有効、というわけやない。有効期間がある。

新規の認定の場合、有効期間は原則12か月(※状態により異なる)。
期間が終わる前に、「更新申請」をして、また認定を受け直す必要がある。人の状態は変わるから、定期的に、介護度を見直すんや。

また、有効期間の途中でも、状態が大きく変わったときは「区分変更申請」ができる。
たとえば、急に体調が悪化して、前の介護度では足りなくなった——そんなときは、区分変更を申請して、介護度を見直してもらえる。逆に、状態が良くなった場合も、見直しの対象になる。「今の状態に、合った介護度」を保つための仕組みやな。


認定された後は、ケアプランへ

無事に、要介護認定を受けて、介護度が決まった。——でも、これで終わりやない。むしろ、ここからが本番や。

介護度が決まったら、次は、その介護度に応じた「ケアプラン」を作る
ケアプランとは、「どんなサービスを、どれくらい使うか」の計画書や。これを作って、はじめて、実際の介護サービスが、動き出す。このケアプランを作るのが、ケアマネジャー(介護支援専門員)の仕事や。

つまり、流れとしては——①要介護認定で介護度が決まる → ②ケアマネがケアプランを作る → ③サービス開始、となる。
要介護認定は、その第一歩。ここを通らないと、何も始まらへん。でも、ここを通れば、あとはケアマネが、あなたに合った介護を、一緒に組み立ててくれる。まずは、認定の申請から。それが、介護生活の、確かなスタートになる。


家族の介護が始まりそうな人、要介護認定の申請を考えている人、介護の勉強をしている人——この記事が、「要介護認定の流れと、対象になる人」を知るきっかけになったなら、夜勤明けにこれを書いてる甲斐があるってもんや。
まずは、お住まいの市区町村の窓口か、地域包括支援センターに相談してみてほしい。

この記事、もし「読んでよかった」と思ってもらえたなら——
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